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《スペシャルコンテンツ》インタビュー

2011.06.15

ひがしちからさん
『ぼくひこうき』インタビュー

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『とべひこうき』:ひがしちからさん

えんバスならぬ、えんふね・とびうお号に乗って、かわのそば幼稚園に通う子どもたちの“小さな大冒険”を描いた『えんふねにのって』で鮮烈な絵本デビューを飾ったひがしちからさん。その今までにない題材と爽快感溢れるストーリーに多くの読者が共感しました。

その後、『ぼくのかえりみち』『いまなんさい』『ひみつのばしょ』など、作品を通して等身大の子どもの姿を描いてきたひがしちからさんが、新作に選んだ題材は“紙飛行機”。「紙飛行機は無限の可能性を秘めているんです」と熱く語るひがしさんの紙飛行機への思い、そして自身の作品に込めている、“大人と子ども両方が楽しめるしかけ”を教えてもらいました。

ぼくひこうき

ぼくひこうき
作:ひがしちから
出版社:ゴブリン書房

せいくんは、おりがみがあんまり じょうずでは ありません。
だけど、かみひこうきは だいすきです。
せいくんは ゆっくりと、いっしょうけんめい おりました。
そして、そらいろの ひこうきができあがりました。
せいくんのかみひこうき、どこまでも飛んでいけ!

 「かみひこうき」は無限の可能性を秘めたテーマです!

─── 『えんふねにのって』『いま なんさい』そして今回の新作『ぼくひこうき』。 ひがしさんの作品に登場する子どもたちは、非常にリアリティがあって、一緒に読んでいる大人も「うちの子もそういうとこ、あるある!」と共感する部分が多いと思うのですが、絵本のテーマを見つけるきっかけは何かあるのでしょうか?

僕は以前から、幼稚園と保育園に通って子どもたちに絵を教えています。絵本の題材はそこから見つけることが多いですね。
今回の紙飛行機も、園で男の子たちが夢中になって飛ばしている様子を見て「これだ!」って思ったんです。男の子って紙飛行機が大好きなんですよ。どうやったら遠くまで飛ぶか……羽根を大きくしてみたり、頭の部分をちょっと重くしてみたり……非常に熱心に研究しています。それと一緒に、飛ばす時のポーズも研究してて…。結果、紙飛行機は全然飛んでいないのに、ポーズだけ変に格好良い子がいたりするんです(笑)。

これだけ子どもを夢中にさせるんだから、きっと紙飛行機をテーマにした絵本も出ているに違いない…と思って、絵本ナビさんで探してみたのですが(笑)、紙飛行機がメインの物語がびっくりするほど少なかったんです。
「これはもう、やるしかないんだ…」って確信しました(笑)。
でも、そこからが大変でしたね…。
抜群のテーマなだけに、どういうストーリーにするのが良いのか、すごく悩みました…。

─── どういった点で悩んだのですか?

例えば、紙飛行機そのものを「かみひこうきくん」というキャラクターにする方法がありますよね。これは、羽根の大きなヤツとか、先の尖がったヤツとか…形の違いでキャラクターの特徴が出てくるので、子どもたちが親しみやすい、非常に広がりのある描き方だなぁと思ったんです。
でもそれは、今まで描いてきた僕の作品とはかなり違っていて…。そこに踏み込んで良いのか、戸惑いがありました。

そこで、自分が紙飛行機という題材で何を描きたいのか…と改めて考え直したとき、紙飛行機を飛ばすことに夢中になっている子どもたちの姿が浮かんできたんです。「この子たちは紙飛行機と一緒に、自分も飛んでいるんじゃないだろうか…」そう思えた時、今回のように紙飛行機が大好きな男の子を主人公にしたお話が浮かんできました。

─── 『えんふねにのって』のとびうお号が空を飛ぶシーンや、『ぼくのかえりみち』の白い線が断崖絶壁になるシーンなど、現実と空想世界を、突然ポーンと飛び越えてしまう勢いの良さが、ひがしさんの作品の魅力ですよね。
『ぼくひこうき』でも、せい君が紙飛行機になって飛んでいくシーンがとても爽やかで、大好きなんです。

ありがとうございます(笑)。
このシーンにはかなり思い入れがありまして…。
すべり台から空へ飛び出すページから先は、紙飛行機が…紙飛行機になったせい君が見た景色を描いているんですよ。
でも、これはかなり年齢があがらないと分からない表現なんです。

僕は園で子どもたちと接する中で、子どもは物語の主人公になるんじゃなくて、主人公に寄り添って物語を体験しているんだということを感じていました。
今回の場合、ナビゲーター役の紙飛行機はずっと画面にいないと、子どもは一緒に飛べないと思っているんです。なので、紙飛行機を消してしまった今の表現だと、「飛行機がいなくなった」と認識する子も、きっといると思うんです。
でも大人や、ある程度物語に親しんだことのある子は、主人公になりきって一緒に空を飛ぶことができる。大人に「ハッ」と感じてほしくて、あえて、ああいう描き方をしました。

─── うちの息子は小学校2年生ですが、一緒に読んだ時、せい君が飛行機になったところで「せい君がいない」って言っていました。それでページを戻ったりして…。
……しばらくして「そっか。せい君、紙飛行機になったんだ」って納得したんです。
ひがしさんのおっしゃる、“大人に感じてほしい”は、そういうことでしょうか?

はい。実は、そこに僕が作品に込めるテーマがあるんです。

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ひがし ちから(ひがし ちから)

  • 1972年、大分県生まれ。筑波大学芸術専門学群卒業。 2004年、第5回Pinpoint Picture Competitionで優秀賞受賞。
    受賞作をもとに作った『えんふねにのって』(ビリケン出版)でデビュー。
    東京都在住。
    その他主な作品に『ぼくのかえりみち』『いま、なんさい?』(BL出版)、『ひみつのばしょ』(PHP研究所)などがある。

作品紹介

えんふねにのって
作・絵:ひがし ちから
出版社:ビリケン出版
ぼくのかえりみち
作・絵:ひがし ちから
出版社:BL出版
いま、なんさい?
作・絵:ひがし ちから
出版社:BL出版
ひみつのばしょ
作・絵:ひがし ちから
出版社:PHP研究所


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