●「読者に喜ばれるものを常に提案し続けたいです」
カナガキ:なかやさんの今の言葉を伺って、改めて「どんぐりむら」シリーズを見ると、読者の方が楽しむ仕掛けが随所にちりばめられていますよね。おはなしの内容はもちろん、ページに登場するどんぐり達を探して遊べるような見せ方や、カバーと帯を切って遊べる「ごっこあそび」、「どんぐりむら新聞」、さらに今回はどんぐりむらキャンペーンも実施されますよね。
なかや:絵本って決して安いものではないですよね。図書館でも気軽に借りてくることができますし…。でも、お子さんが楽しんで何回も読んでくれれば、お母さんたちもきっと高いと思わないと思うんですよ。なので、私は、最初のページから最後のページまで気を抜かず、どこまで楽しんでもらうことができるか、最大限努力しようと思っています。その気持ちの表れが、図書館では、きっとはずされたりしてしまうであろう、カバーの「ごっこ遊び」や「どんぐり新聞」です。
こういった買って楽しんでもらうための工夫というものは、私1人の力だけでは到底できなくて、私の考えに乗ってくれて、一緒に楽しんでくれる出版社の方や、担当編集者さんがいて初めてできることなんです。幸運なことに「どんぐりむら」シリーズはそういうメンバーと会うことができました。子どもが楽しんでくれることを120%盛り込んだ絵本だと思います。「絶対損させませんから、買ってください!」って胸を張って言える。それくらい作り込みをした自信はあります。
●今後のどんぐりむらの展開は…?
カナガキ:見返し部分を拝見して思ったのですが、今回のおまわりさんはかなり珍しいどんぐりなんじゃないですか?
なかや:オキナワウラジロガシ。奄美や沖縄にしかない、すごい大きいどんぐりなんですよ。以前、どんぐり資料館に行って見つけたときに、編集さんが「おまわりさんっぽくないですか?」と言ったことがきっかけで、おまわりさんはこのどんぐりになりました。
カナガキ:丸くて、大きくて、強そうで…おまわりさんのイメージにぴったりですね。
なかや:一口に「どんぐり」と言っても、非常に多く種類があるんです。海外まで目を向けるとそれこそ数百種類はあるかも…。
いずれ、どんぐりむらに「ハロー!」といって登場するキャラクターがでてくるかもしれません。
カナガキ:いいですねー。国際色豊かなどんぐりむら!(笑)。
最後に読者の方へ、『どんぐりむらのおまわりさん』のメッセージをお願いします。
なかや:この本を作った目的は、将来への憧れです。
子どもは本当によく、大人を見ているので、私も含めて大人の皆さん、日々、子どもに見られていると感じて過ごさなければいけないなと…。頑張りましょう!そして、子どもたちはそんな頑張っている大人の背中を見て、成長していってほしいです。この絵本に登場するいっちの様に、憧れの職業を目指す気持ちを共感してもらえたら嬉しいです。
ありがとうございました!
(編集協力:木村 春子)