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むげんことわざものがたり

むげんことわざものがたり(偕成社)

好評につき2刷!ことわざがつながって、ひとつの物語になったおもしろ絵本

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移動するものたち

移動するものたち(小学館集英社プロダクション)

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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  『どんぐりむらのおまわりさん』発売!なかやみわさん×カナガキ事務局長スペシャル対談

「おまわりさんが主役で登場の理由は?」

カナガキ:『どんぐりむらのおまわりさん』。前作よりさらにパワーアップ!という感じで読ませていただきました。おまわりさんといっちの交流が本当に温かくて、おまわりさん、格好いい! 「どんぐりむら」シリーズでは毎回、いろんな職業を紹介していますが、今回おまわりさんにスポットを当てたのは何故ですか?

なかや:「ぼうしやさん」「ぱんやさん」と今までの2作の仕事がお店だったからというのが理由のひとつです。「どんぐりむら」シリーズでは、新作が発売された後に編集部で「次回はどんな職業のおはなしを読みたいですか?」と読者アンケートを取ってもらっているんですが、おまわりさんが上位にランクインされていたんですよ。それがもうひとつの理由です。

カナガキ:最近、子ども達も含め、僕たち大人の中にも、おまわりさんへの憧れが薄れている感じ…というか、距離を置いてしまう感じがします。でも、この絵本に描かれているおまわりさんは、凛々しくて優しい。僕も憧れてしまいました。

なかや:「どんぐりむら」シリーズを作ろうと思ったきっかけに、子どもたちが将来、こんな大人になりたい、こういう職業につきたいという夢を持ってもらいたいという願いがあります。子どもから見たとき、制服姿のおまわりさんは正義の味方なんですよね。絵本が担う部分はほんの一部かもしれないですが、子どもが読んだときに「おまわりさんになりたい」と思ってもらえるような、きっかけが生まれれば良いなと思って描きました。

カナガキ:前回の『どんぐりむらのぱんやさん』では、実際にパン屋さんに取材に行かれていましたが、今回も取材などされたのでしょうか?

なかや:職業柄、今回は取材ができなかったんです…。その代わり、おまわりさんについて書かれている本やインタビューを読みました。私が特に知りたかったのは、おまわりさんになろうと思ったキッカケ。探していくと、「道で1円玉を拾って交番に届けたら、たった1円なのにきちんと書類を作って、親切に対応してくれた」…というような、子どもの頃におまわりさんに親切にしてもらったことのある方がすごく多かったんです。小さい頃の思い出は薄れないんだな…と感じ、今回のおはなしの核となる、いっちとおまわりさんのやり取りを描こうと思いました。

カナガキ:おまわりさんに憧れたいっちが、実際に村のパトロールをしたり、挨拶をしたり、頑張っているところが良いな〜って思ったんです。それと、いっちがおまわりさんのことをちゃんと見ていて、真似しているじゃないですか。実際の子どももすごく大人のことを見ているんですよね。それが絵本でも描かれていて、さすがなかやさんだなと思ったんです。

なかや:そう、子どもって本当に大人の姿をよく見ているんですよね。だから私たち大人は、子どもが憧れるような姿をもっともっと見せていかなきゃなと思っているんですよ。

「カナガキ事務局長に聞きたいことがあったんです!」

なかや:以前、絵本ナビさんにインタビューをしていただいたとき、イソザキ編集長から「うちのカナガキが『どんぐりむらのぼうしやさん』を読んで大変感動していたんですよ」と伺ってまして…。それから、ずっとお話を聞けたらと思っていました。

カナガキ:ありがとうございます。『どんぐりむらのぼうしやさん』を読んだとき、「このおはなしには、ビジネスで学ぶべき本質が詰まっている!」と思ったんです。帽子が売れないって分かったとき、ぽー、ちい、くりんの3つぶが、「しょうがないよ、ぼくらの村じゃ、こんぐらいが限度だろう」って思っちゃったら終わりじゃないですか。だけど3つぶは街に行く。そして街で見つけたのは帽子が売れる答えそのものじゃなくて、ヒントだったんですよね。「街に行ったら売れた」じゃなく、「ヒントを生かしてどんぐりむらで売れるようにした」。世の中甘くないけれど、困難な状況でもあきらめずに、知恵と努力でイノベーションを起こして乗り越える、そこがすごく良いと思いました。『どんぐりむらのぱんやさん』でも同じことが言えて、パパもママも家族を大事にしている。だけど、仕事はうまくいかない…。じゃあ、どうしたかというと、ひたすらに作り続ける。失敗しても何度も何度も。家族か仕事、どちらかを取るかではなく、みんな一緒に愛情を持ってやることで、イノベーションが生まれるんだって思ったんですよ。

なかや:そこまで感じていただけるのはうれしいですね。

カナガキ:大人が絵本を通して子どもにメッセージを伝えたいと思っても、それが伝わるかというのは、別の話ですよね。でも、なかやさんの作品は、子どもが100%楽しめる部分も含めて、大切な部分をしっかりと伝える、子どもが受け取れる仕組みが組み込まれているんですよね。だから、僕ら大人もズンと受け止めることができる。それと、僕は常に「子どもがライバル」と思っているんです。子どもって1ヶ月でもすごく成長しますよね。だから子どもに対して胸を張れるように、自分ももっともっと成長しようと思っている気持ちがあって、それが、なかやさんがシリーズを通して伝えようとしている「子どもが憧れる大人の姿」と通じる部分が多いと思いました。

なかや:そうですよね。私もカナガキさんのお話を伺って、格好いい大人がここにいた!って思いました(笑)。
カナガキさんのように、仕事に対して100%真剣に楽しんでいるような大人がもっと増えると、日本はもっともっと明るくなると思います。
基本的に仕事って大変なことが多いじゃないですか。でも苦しんだ分、成功したときの達成感も大きくて、また頑張ろうって思えるんですよ。困難は常にある。それを乗り越えていくんだよっていうことなんですよね。

カナガキ:仕事で辛いことがあったとき、なかやさんはどのようにして乗り越えているんですか?

なかや:「絶対にぶれないこと」「読者の声を信じること」、この2つを常に考えることですね。まだ私が新人で、1、2冊しか絵本を出していないとき、私の作品についていろんなことを言われたんですよ。その中には厳しい声も多かった。けれど、私の絵本を100%楽しんで、支えてくれたのは読者の声だったんです。「うちの子がなかやさんの作品を何度も何度も読んでって言ってくるんです」「だから続きを描いてください」。そういってくれる読者の声を信じてきたから、今の私があるんです。なので、私にとって読者の皆さんからのお便りは、心の支えであり、困難を乗り越えるための大切なアイテムです。

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なかや みわ

  • 埼玉県生まれ。
  • 女子美術短期大学造形科グラフィックデザイン教室卒業。企業のデザイナーを経て、絵本作家になる。
  • 人気絵本作品に「そらまめくん」シリーズや「くれよんのくろくん」(第12回けんぶち絵本の里大賞受賞)シリーズ、自身の子育て経験を活かして描いた「こぐまのくうぴい」シリーズ等他多数。
  • かわいらしく、個性的なキャラクター達が大活躍する心温まる作品は、子ども達や若いお母さんに高い支持を得ている。

作品紹介

どんぐりむらのぼうしやさん
作・絵:なかや みわ
出版社:学研
どんぐりむらのぱんやさん
作・絵:なかや みわ
出版社:学研


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