「雀の子そこのけそこのけ御馬が通る」
素朴な情景が目に浮かぶ、この俳句をつくったのは?
そう、小林一茶。江戸時代に生きた俳人です。
一茶は、幼いときに母を亡くし、14歳で家を離れ江戸に向かいました。
その頃にはすでに寺子屋の先生にすすめられて、俳句をつくり始めていたようです。
その後、日本各地を旅し、自然や人間の暮らしをあたたかい眼差しで眺め、俳句によんでいった一茶。
人生の後半には何が待っていたのでしょうか…。
名前は知っていても、たくさんある小林一茶の作品についてや、
どんな生涯を送ったのか知らない方も多いはず。
本書は、一茶の俳句作品をひとつひとつじっくり味わいながら、
その生涯をもわかりやすく教えてくれるすてきな絵本です。
そしてこの絵本は、なんと、アメリカで出版されたものの翻訳なのです。
なぜ?と思われると思いますが、アメリカでは、文章を書く練習のために、俳句(Haiku)をつくる勉強をすることが多いそうです。びっくりですね!
私もかつて、アメリカ人の若者に、一茶(Issa)を好き?と聞かれたことがあって、驚いたことが。
その理由がわかったように思います。
本書で選ばれている俳句は、どれも一茶らしい作品ばかり。
猫、雀、蛙、蝶など、子どもたちも大好きな可愛いもの、
小さいものがテーマの句が多いのもいいですね。
文は、国際関係学と日本語を専攻し、和太鼓が趣味というマシュー・ゴラブさん。マシューさんの句の解説はわかりやすく、日本の子どもたちも俳句に親しむ助けになりそう。カズコ・G・ストーンさんによる、日本的で美しい絵も魅力です。はじめて俳句に出会う子どもたちにおすすめの一冊。どうぞお楽しみください。
(長安さほ 編集者・ライター)
続きを読む