卵を守り、幼虫のために食べ物を運びます。
九州と沖縄の里山に生えるボロボロノキ。
細い枝が折れやすいことから、この名前がつきました。
このボロボロノキの近くでは、まっ赤なカメムシの集団が見つかります。
このベニツチカメムシには、不思議な習性があります。
卵を産んだおかあさんは、お腹に卵をかかえて、大事に守ります。
そして、卵から幼虫が生まれる直前、クリームのような液体を卵にかけます。
この液体には、おかあさんの腸内の共生細菌が入っていて、生まれた幼虫たちが食べる最初の食べ物になります。
幼虫たちが生まれると、おかあさんは、巣から外に出て、ボロボロノキの実をさがし歩きます。
実の重さは、おかあさんの体重の1.5倍もありますが、いっしょうけんめい、幼虫たちが待つ巣に持ち帰ります。
幼虫たちが育つためには、この実の汁が欠かせません。
しかも、実の汁を消化するためには、おかあさんからもらった共生細菌も必要なのです。
幼虫たちが、自分の力だけで食べ物を見つけるようになると、やがて、おかあさんは……。
人々の暮らしのすぐそばで、毎年、くり返される、ベニツチカメムシの細やかな子育てとボロボロノキの四季のうつろいを描く写真絵本です。
【編集担当からのおすすめ情報】
カメムシというと、少し苦手な方も多いかもしれません。
しかし、この写真絵本の主人公のベニツチカメムシは、まっ赤で、とてもかわいらしい昆虫です。
卵を守り、一生懸命、幼虫のために食べ物を運ぶ姿はいじらしく感じます。
しかも、親から子に共生細菌を引き継ぐという仕組みはとても不思議です。
ぜひ、この写真絵本で、昆虫たちの一生懸命に生きる姿を感じていただけたら幸いです。
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