
都会から離れた夜の道路を走る1台の霊柩車。地方で急死した旅行者の遺体を都会へ届けるはずが…死体がない! いったいどこへ?

『星新一YAセレクション1』(理論社)。
表題作である「死体ばんざい」をはじめとして、12篇の「ショートショート」が収められた、YAすなわちヤングアダルト向けの児童書。
ちなみに、「ヤングアダルト」は子供と大人の間の世代を指す言葉で、13歳頃から19歳頃までの若者のことをいいます。
装幀・挿絵(それぞれの作品に挿絵がついています)は、和田誠さん。
星さんの作品だからすべて完璧ということはさすがになくて、この巻でも数編は消化不良と感じる作品もないわけではありません。
その一方で、とてもよく出来ていると読み終わってうれしくなる作品もあります。
そのひとつが表題作の「死体ばんざい」。
ショートショートとしては少し長めの作品ですが、それでもあっという間に読めて、それでいてドキドキしてしまうのですから、さすがというしかありません。
地方で急死した旅行者の遺体を都会へ届けるために夜の道路を走る1台の霊柩車。と、気が付くと乗せたはずの死体がありません。驚いたのは、霊柩車を運転してきた男たち。元来た道を引き返すと、運よく死体を見つけますが、棺桶がありません。それでもいいやと霊柩車に乗せて再出発。ところが、休憩場所で死体を盗まれることに。
この死体、このあとも転々と持ち主(?)を変えていきます。
どんなオチになるのか気になりますが、この話が面白いのは転換の妙。
それとよく似た、どんどん転換していくお話は巻頭の「影絵」という作品。
星さんの作品は、面白い作文を書くコツを教えてくれます。 (夏の雨さん 70代以上・パパ )
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