民間人に多大な被害をもたらした原爆。激しく凄惨な地上戦が繰り広げられた沖縄。焼き尽くされた広島の街に救援に赴いた青年と、少しでも沖縄の人々を救おうとした日系アメリカ人の軍人のエピソードを絵本にしました。
戦争体験者の語りを絵本で紹介しているシリーズの第7巻です。
このシリーズを読み続けているに従い、自分の戦争認識が先入観と一面的なものであったように思いました。
戦争は悲惨なものであり、繰り返したくないことですが、その時代にもいろいろな生きざまがあり、子ども時代があり、単純にひとくくりにしてはいけないと思います。
子どもたちと学んでいきたいと思います。
この絵本では、広島原爆、沖縄戦を一歩離れたところの体験者としてのお話が載っています。
第1話
「おねがいです、水をください」 井上こみち:文 / BOOSUKA:絵
小学校時代に広島県の呉で過ごしたことがあります。
広島市のすぐそばなので広島原爆のことは他人事ではないのですが、この絵本を見て呉からは原爆がこのように見えたのだと感じました。すぐそばでいながら直接被害を受けなかった町。
駅員として働いていた澤田さんは救援者として見たこと体験したことを心に秘めています。目の前で死んでいく人を見続ける地獄はいかばかりだったか。
自分たちも直接体験者にはなれません。澤田さんの心をくみ取りたいと思います。
第2話
「沖縄の人をすくったアメリカへい」 藤崎康夫:文 / 中沢正人:絵
日系人のアメリカ兵として沖縄に来た坪田さんの体験談です。
日本人を父に持つ坪田さんにとって日本はあこがれの国でした。
それが、戦争によって収容所に入れられ、そして徴兵によってアメリカ兵として戦争に参加したのです。
坪田さんの勤務は沖縄に上陸したアメリカ兵の中で、敗戦直前の日本民間人を助けること。
日本人からすればアメリカ兵は敵であり、捕えられたら何をされるか解らない。
反撃できないと知ると「自決」していく。
日本人でもあるアメリカ兵としての思いはいかばかりだったか。
戦後も日本に残り、日本人として生活する坪田さん。
お互いに人間なんだということを忘れてはいけない体験談でした。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子14歳)
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