魚雷で沈んだルーシー号から生き延びた少女。
島で見つかった言葉を失った少女。
読者には接点がはっきり見えているのに、二つの少女イメージが噛み合わないままに、誤解と偏見で物語はがんじがらめになっていきます。
答えの出ない歯がゆさと、少女の立場をこれまでに追い詰める切なさに、救済を信じながら、中断することができないで、急いて読み終えてしまいました。
敵味方ない人間愛、絶望に追いつめられた人間の失うもの、様々な心模様がみごとに織り上げられた作品です。
モーパーゴの作品の最高峰として絶賛したい作品に出会いました。
史実に基づく作品です。
思想や利害を越えて、人間はわかり会える心を持っているのではないでしょうか。