安房直子さんの上品な文章が好きです。
このお話は、いつもの美しいファンタジーの中に
すこし毒を含んだミステリーチックなものを感じるものでした。
菊酒を作れるふしぎな壺を預かった郵便屋さんが
秘密を守れずに、妻にうちあけ、お酒を商売道具に変えてしまうくだりは
誘惑に勝てない人間の業を感じました。
読み始めの、小人が登場しふわふわした感触が
中盤以降、ミステリーかホラーかサスペンスというふうに変化し
ページを繰る手が止まりませんでした。
しかし・・・
個人的に
菊酒がとてもいい匂いのおいしいお酒という設定が
どうもしっくりきませんでした。
菊って、仏壇のお花っぽくて
匂いもいいにおいというより、独特のものがありますし・・。
菊の花ってところが、よけいにオカルトっぽく感じてしまうのかな・・。