石井睦美さんと酒井駒子さんによる新作絵本が2013年10月に発売されることになりました。題名は『しろうさぎとりんごの木』。絵本ナビでは、この絵本が発売される一ヶ月前からお二人がお手紙を交換する「往復書簡」という形で、少しずつ作品への想いをご紹介してきました。ずっと読んでくださっている方の中には、表紙を見ただけでもドキドキしてしまっている方もいるのではないでしょうか。 そんな待望の作品の完成を記念して、文章を書かれている石井睦美さん、絵を描かれている酒井駒子さんにそれぞれインタビューさせていただきました!石井さんの文章と酒井さんの絵が不思議なくらいに馴染んでいるこの絵本。どんな風に制作は進んでいったのでしょうか…。
- しろうさぎとりんごの木
- 作:石井 睦美
絵:酒井 駒子 - 出版社:文溪堂
しろうさぎは もりのなかの ちいさないえで うまれました ちいさないえでしたけれど、しろうさぎに ひつようなものは なんでもそろっていました だいすきな おとうさんと おかあさん そして…… 小さなうさぎの、小さな幸せを描いた絵本。
─── 『しろうさぎとりんごの木』という題名を聞いただけで、どんな内容になったんだろうと色々想像をめぐらせてしまいました。「往復書簡」のコーナーでは、編集者の方が石井さんに「酒井さんとの絵本をつくりませんか?」と声をかけられた、と書かれていましたね。
石井さんの中では、酒井さんの作品にはどんなイメージを抱かれていましたか?また、声をかけられた時にはどんなことを感じられたのでしょうか。
酒井さんの作品を初めて拝見したとき、なんて格調の高い絵! と思いました。そして愛らしい。すばらしいです。
ですから、文溪堂のOさんから酒井さんと組んでというお話をいただいたときは、やったという気もちと、酒井さんはわたしでいいのかしら? という気もちがいっぺんに押し寄せてきました。
───主人公はしろうさぎの子! 酒井さんの作品の中では「女の子のうさぎとおかあさん」という組み合わせは初めてですね。
酒井さん宛ての手紙にも書いたように、『ぼく、おかあさんのこと』を読んで、酒井さんとうさぎの子の絵本ができたらという思いはずっとあったのです。
うさぎの子を女の子にしたのは、わたしは、童話やYA(※)でもずっと女の子を描いていて、女の子というのが、わたしの大事なテーマでもあるからです。
- ぼく おかあさんのこと…
- 作:酒井 駒子
- 出版社:文溪堂
お母さんなんか嫌い!だって,お休みの日はいつまでも寝てるし、「はやく、いそいで!」って言ってばかりだし。それに……。
───小さいけれど必要なものは何でも揃っている家。そして、大好きなおとうさん、おかあさんがいて、庭にはりんごの木が立っていて。そんな風景の中で、繰り広げられる親子の会話や出来事。
モデルとなった場所やエピソードはあったのでしょうか。
モデルとなった場所はとくにありません。
でも、このウサギの一家は、身の丈にあった可愛くて清潔な家に住んでいると思っていました。酒井さんが、ほかに考えられないくらいぴったりの家を描いてくださいました。
うさぎの子は、おとうさんやおかあさんにほめられると「えらい?」と聞きかえしますが、それは、わたしの娘がそうだったのです。
───ジャムやコンポート、くろうさぎのぬいぐるみなど、おはなしの中でも、これらの小物たちがとても印象に残りますね。
しろうさぎの子は、手作りのものに囲まれて育っていくのだと思ってそうしました。