
台湾の国民的な絵本作家ジミー・リャオの最高傑作。
幼いころ祖父母と暮らしていた少女。 両親の家に戻るが、うまくいかない学校生活、
愛する祖父の死、両親の不仲に孤独感は募るばかり。 そんなとき向かいの家に引っ越してきた少年と出会い、
次第に心を通わせていく。ある日、少女は少年といっしょに、
かつて祖父と暮らした山の上の小屋へむかうことを決意する。 幼いころに出会ったあの美しい星空を見るために……

実際に実写化されたそうなので、映画のような絵本というよりも、映画のカットを136ページの長篇絵本に仕立てた作品と言ったほうが良いかも知れません。
父親と母親の間の問題あって祖父母の家で暮らしていた少女でした。
両親の元に暮らすようになっても、心を開くことができません。
そんな時に、転校生との出会いがありました。
どこかで似た者同士の二人の不思議な夏が、ファンタジックに描かれています。
非現実の中に逃避してしまう少女の心と、誰とも打ち解けようとしない少年の孤高が、二人の結びつきを強くしていくところは、少し甘美な退廃感を醸しているように思いました。
それにしても数多くのページに描かれた絵は、不思議さに満ちていて、どれもが重厚です。
表表紙裏表紙見開きにそれぞれ描かれた少女と少年の顔が、この絵本を終わらせてくれません。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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