「まちの はずれの ねぼすけたんぼ
みずが はいって、めを さまし、
たうえの きせつを しりました。」
胸の中が、すうーっと爽やかに土の香りで満たされるような、春の田んぼ。そんな風景をひっそりとうかがう、ちいさな影がありました──。
カワイイからってナメちゃいかんぜ! 壁に張り付き意表をついて、体の色を変えて隠れて……? その姿、まるで忍者!? サトウマサノリさんの作画と、谷本雄治さんの文章でつづられる、身近な生命の生き様をダイナミックに切り取ったシリーズ。カブトムシ、クワガタ、オニヤンマときて、こんどのテーマはアマガエル!
「たうえの あとは、うたがっせん。
のどを おおきく ふくらませ、じまんの うたを きかせます。」
「あたまを さげて、おしりを あげて、
ぽろぽろ、ぽろり、ぽろ ぽろ ぽろり。
まあるい たまごを うみました。」
読み聞かせにもピッタリ! 歌のようにリズミカルな文章で、生き生きとアマガエルの生態を描き出します。カエルいろいろ、オタマジャクシもいろいろ。カエルの種類によって、オタマジャクシもぜんぜん顔がちがう!? 今日からぼくもオトナのカエル。でも、前足はいつも左側から生えてくるってホント!?
カエルの中では特に身近に感じるアマガエルですが、その生態にも知らないことがまだまだこんなにたくさんあるんだなあと、おどろかされました。
そんな彼らが立派なオトナのカエルになるまでを追ったイラストも、迫力満点!
弱々しいオタマジャクシを狙う、凶暴な水中の虫たち。アマガエルの忍術をものともせずに襲いかかってくる、ヘビやクモ。特にみどころな一枚は、草にしがみついて隠れる、1匹の小さなアマガエルを描いた緊張感あふれる1ページ! そのすぐ近くには、鋭く、ながーいクチバシが、獲物を探しています……
ちいさく、まるい体で懸命に生きるアマガエルの、かわいくもたくましい姿を描いた生命力あふれる一冊です。
(堀井拓馬 小説家)
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