とても大切なことを書いた本です。
うさぎのデイビーは、サンタさんにプレゼントをもらいたくて、植えた森の動物に自分の家族の食べ物をたくさん与えます。何とか自分たちが飢え死にしない量の食糧は確保できたようですが、兄弟たちには文句を言われます。だってそうですよね、あげすぎて自分たちが飢え死にしそうだったら困るもの。でも、クリスマスの日、サンタじゃなくて動物たちがそれぞれプレゼントに少しずつ食糧を持ってきます。そして夏になったら美味しいのがとれるところを教えてくれると約束します。
めでたしめでたし、なのですが、善行の大きさについて考えてしまいます。たいていはわが身可愛いわけです。震災にあった人のために助け合いたくても、全財産を投げ出すことは尊くても、実際そこまではできないですよね。せいぜい自分たちの家計が困らない金額を募金する程度。助け合いは大事なのですが、実際やるとなると、絵本と違って、お返しが期待できるわけではなく、募金の場合なんかはダレが出したお金か分からないからありがとうも言われないくらいですよね。もちろん寄付ではお返しを期待するわけではないけど、全財産出すなら、いつか返して欲しいなと思ってしまいます。だって全てなくした自分たちに誰かが食べ物や住みかを恵んでくれる補償はないんですもの。そこを全部どうぞ!とできるかというと難しい。デイビーは子供だからというのもあるけど、尊いことをしました。ただ、それでもし食べ物が足りなくなって自分の家族が死んでしまったら、めでたしめでたしでは済まないと思います。
分け合うことは大切だけど、限度もある。
難しいテーマの絵本です。