この夏の第71回青少年読書感想文全国コンクール「課題図書」の「小学校中学年の部」に選ばれた1冊。
「課題図書」に選ばれた「選定理由」によると「転校生を迎える、という身近な体験を描いており、意外な転校生へのクラスの驚きから笑顔になるまでの構成、学校生活の面白さ、文化の違い、世界で共通する友情等を知ることができる。」とあります。
作者のジェニー・ロブソンさんは南アフリカ共和国で生まれて教師として働きながら執筆活動とした人だということですから、この物語に登場する小学4年生の子供たちの姿などは色濃く反映されているのでしょう。
だから、どの子も生き生きとしています。
ある日、小学4年のクラスに転校生がやってきます。
ところが、この子、何故かバラクラバをかぶって顔がわかりません。
実はこの本のタイトル『バラクラバ・ボーイ』にもある「バラクラバ」ってあまり馴染みがないので説明がいるかもしれません。
本では黒須高嶺さんのさし絵がついていますから、その形状はわかるかと思います。
文章で書くと、「頭から顔、首までを覆う防寒具」のことで、一般的には「目だし帽」と呼ばれるそうです。
なので、タイトルを日本語訳すれば「目だし帽少年」かな。
さすがに転校生が「目だし帽」をかぶったままだと、クラスの子供たちは大騒ぎします。帽子の中はどうなっているの、どうして学校はそれを認めているの、子供たちがその謎を解くためにあれやこれやしていきます。
そして、いつの間にこの謎の転校生とも仲良くなっていく物語。
自分たちの世界に入ってきた異なるものをどう受け止めるか、これはみんなで考えてみたい一冊です。