年老いた魔法使いの相棒(?)の猫としじみのしじみしたお話です。
魔法使いのおばあさんは、しじみのいびきになぜかしみじみとしてしまって、しじみ汁にできません。
ああだこうだと言っていた猫のトラジも、なんだかしじみの気持ちになってしまいました。
良く考えると、(良く考えなくても)妙な話ではあります。
「しじみって海の貝だっけ?」
「ボールの中でそんなに長く生きられるの…?」
「汽車に乗るのに、しじみも切符がいるの?」
「…………?」
って理屈で考えるお話ではありません。
それほど、書いている作者もしみじみとした気持ちで書いたのですから。
しじみを海に帰すために募金活動をするところには、心のぬくもりにしみじみしてしまいました。
海でしじみを貝に砂浜に放したら、帰る汽車のお金がなかったという話も、しみじみしてしまいました。
こぢんまりしたペン画で描かれたお話。
いかにもしじみが地味な絵の中でしみじみと描かれていて、じんわりと来るお話です。