一体、私って何者?というくらい偉そうな書き方ですが、私の中でこの『さとるのじてんしゃ』
くらい話の構造や起承転結がしっかりしていて、つじつまがあって、主人公の自転車に
乗りたいという気持ちが手に取るように伝わってくる、「完璧な話」はありません。
読み終わった後に、おお〜!と、本当に読み応えのある話でした。
主人公さとるの自転車が欲しい気持ちや、やっと自転車を買ってもらっても、実際には
すぐに乗れなくてくじけそうになるところ、それを乗り越え自転車に乗れるようになると、
実力以上のことをしてしまおうとするところ....
作者:大石真さんは本当に子供の心理(特に男の子)をよく捉えているなぁと感心して
しまいます。そして、さとる君のママのジレンマも手に取るように分ります。いつの時代
にも、母親って心配性なんですよね...
挿絵も大好きな北田卓史さんなので、本当に完璧って感じなのですが、
でも、1つだけ...
いくらなんでも、休みの日は“おじさん”は背広を着てはいないだろう!と(笑)
必ず見開き1ページに1箇所は挿絵があるので、子供にとっては長い話かもしれ
ませんが、1章ずつ読めば、個人的には長さや形態から言って幼年童話と言えばの
『エルマーのぼうけん』に匹敵する楽しさがあると思います。
(私にとっては“それ以上”くらいの評価ですが!)
とても、話の続きを知りたくなることでしょう!
ただし、本当にちょっと長いので、対象は早くて年長さんくらいからかな?と思います。
お奨めです。是非、是非、読んでみてください。