スウェーデン生まれのスーパーガール、「ピッピ」の絵本、第4弾です。
ピッピは世界一つよい女の子。左右ちがう靴下をはき、寝るときの足はまくらの上、あたまは布団のなかで、あべこべで寝ます。
ピッピは<ごたごた荘>にサルのニルソン氏と馬と一緒に住んでいます。
となりに住むトミーとアニカのきょうだいは、ピッピのことが大好き。
これはあるうつくしい春の日に、ふたりが、ピッピと町へ買い物にいくお話です。
ピッピだもの、とんでもないものを買ったんじゃない?と思ったそこのあなた、正解!
ただしとんでもないもの……というより、とんでもない量。そしてとんでもないやり方でといった方がいいかもしれませんね!
お菓子やさんのカウンターでピッピは「あめだまを十八キロ、おねがいします」。
お店の人はぽかんと口をあけ、「あめだまを十八こ、でしょう?」と聞き返します。
そりゃあ、そうですね。いちどにそんな量のあめだまを買う人なんていませんもの。
<ごたごた荘>の旅行鞄には、ピッピのお父さんの船長さんがくれた金貨がぎっしりありますから、お金にはふじゆうしません。
トミーとアニカはもちろん、買い物のようすをお店のガラス窓の外で見ていた町の子どもたちは、わくわくしすぎて気がとおくなりそう。
(きっと読んでいる子どもたちも同じ気持ちになるはずです!)
次はおもちゃやさん、そしておくしゅりやさん……。え、おくしゅり?
ピッピはどうも「おくしゅり」を合理的に考えすぎているようで、とんでもないことをやってのけます!?
ピッピのせりふは、いちいち「なるほどねえ」とまわりが説得されてしまう力があって、痛快そのもの。
「子どもは大人に保護されるべき」なんてとんでもない!
子どもが自由に独立してふるまう胸のすくような爽快感。常識的な大人がふりまわされる様には思わずニヤリ。
本国スウェーデンのピッピ作品と同じ挿絵画家、イングリット・ヴァン・ニイマンのカラフルでポップな絵が素敵です。
文章はちょっと多いですが、大判の絵本をすみずみまで飽きずにながめていられますよ。
子どもたちの永遠のあこがれ「お買い物」を、ピッピの絵本で楽しんでくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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