ほんの6キロ先のこと。距離だけみれば、車で10分。それなのに、身近と呼ぶにはあまりに遠い!
水面から6500メートルの深さにある、海の底。そこには空気もなく、太陽の光もなく、生身で踏み込めばぺちゃんこに押しつぶされてしまう、高圧力の世界。
「 深海には、どんな生物がいる? どんな資源がある? 地形はどうなっている?
この目でたしかめてみたい」
人類のそんな夢を叶えたのが、日本の有人潜水調査船「しんかい6500」。1989年から1600回以上も海にもぐり、深海の謎に迫り続けているスーパーマシン! 本作は、そんな「しんかい6500」のおどろくべき機能と、深海探査の様子を描いた科学絵本です。
飛行船のようにも、船のようにも見える、かわいらしいフォルム。その前面から顔をのぞかせる、カメラやライト類。それらに混じって前方に突き出された、ロボットアーム。
洗練された機能美とロマンとを兼ね備えたなデザインですが、グッとくるのはまだ早い! メカ好きみんながお待ちかね、内部構造をあきらかにする解剖図イラストも、掲載されています。
母船「よこすか」の内部からクレーンの駆動とともに姿を現す「深海6500」。ロープが伸びて、ゆっくりと海面に着水、多くの謎が待つ海底世界へ──。
まるでSF映画のようなメカメカしい光景の数々に、心がたぎります。
もちろん、ただカッコイイだけでは終わりません。
コックピットが、ボールのようにまんまるな理由とは?
いったいどうやって、浮いたり沈んだりしてるの?
水の中で伝わりにくい電波の代わりに、あるものを使って画像を送信!?
それから、あまりにも意外な深海のトイレ事情……。
おとなでもびっくりまちがいなしの、深海調査アレやコレを大公開!
宇宙よりもずっと近くに残された、未知とロマンの眠る場所。「しんかい6500」といっしょに、まだ見ぬ謎のその先へ!
(堀井拓馬 小説家)
続きを読む