果てしなく続く広大な平原の中でひとり佇むキリン。かなた地平線で夕焼けに染まるトナカイ。浮氷の上から遠く連なる氷山を見ているホッキョクグマ。砂漠を走るオリックス。絶壁にたたずむシロイワヤギ…。大自然の中でたった一頭、一匹で「ぽつん」と佇む動物たち。
これらはナショナルジオグラフィックによる美しい風景写真が集まった「ナショジオ ワンダーフォトブック」シリーズの一冊。そこに動物が佇むだけで生まれてくる物語。写真絵本とも言えるかもしれません。
気の遠くなるような景色の広さ。あんなに大きいと思っていたゾウやキリンがこんなにも小さく見えるなんて、大自然の壮大さを感じずにはいられません。どこか寂しげにも見える孤高の動物たちの姿、ひとり水を飲みながら、はるか彼方の地平線を眺めながら彼らは何を思うのでしょう。想像しながら写真を眺めていると、「大自然の中で生きる」という感覚が急にリアルに迫ってくる気がします。
自然の風景を、そこに生きる動物たちの姿を何となく知っている気になっていた自分にとって、知らない一瞬ばかりを見せられた気がして、どの写真からも目が離すことができません。絶景の中の彼らの姿、表情、その美しさと情緒をじっくりと味わってください。その姿からはどんな声が聞こえてくるのでしょうか・・・?
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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