【あらすじ】
カナダ人初の宇宙飛行士となった男性の、子ども時代のお話。
暗闇が怖くてたまらない少年が、ある日、宇宙飛行士が月に着陸したテレビ放送を見て、変わる。今まではエイリアンが居て怖かった暗闇が、素敵な空間に。そして、少年は宇宙飛行士になる決心をする。
【感想】
少年の、怖がりっぷりがしつこくて、印象的だ。ご両親は少年がちゃんと一人で寝られるように、自律できるようになだめたり、すかしたりする。怖い時にベルを鳴らすようにしたが、あまりに頻繁にベルを鳴らされ、眠れないので、とうとう少年はベルを取り上げられた。この辺の前半の部分が、素敵だ。
自分の子ども時代の事を思い出した。真夜中にふと目が覚めて、豆電球だけ灯っている部屋が、異空間に見えて怖かったこと。でも、うちは夜中にジジばばを起こすと激烈に怒られるので、結局、ひとりで頑張るしかなかったなあ。
アポロ11号の、月面着陸や、宇宙飛行士の姿を見て、少年の意識が急に変わる部分が不思議な感じだった。あんなに怖がっていた暗闇が、怖くなくなるなんて、信じられない。人生の不思議なめぐりあわせを感じさせる。本当に、何が起きるかわからない。
この絵本は、絵が文章以上に物語っている。言葉で表さなくても、絵をじっくり見ているといろんなことが伝わってくる。ぜひ、夜中に、じっくりゆっくり楽しんでもらいたい。雰囲気が出て素敵な体験になるよ。
最後の方に、本人の写真がいろいろあって、「あの少年がこんなに立派なオヤジさんになって…」と感慨深い。犬のアルバートも一緒にいて、長生きしているみたいでおかしかった。いろんなところにつっこみどころがあって、楽しい。そして希望が与えられる素晴らしい一冊です。年齢問わず、ぜひお試しください。