親しみやすい絵の中で、とても大事なことを伝えてくれる本です。
「人間のしあわせのために世界を征服すればよい。」そんな言葉のためにどれだけ多くの過ちを犯したことか。子どもにとっては知らない世界かも知れませんが、大人は過去形としてかかえている。
過ちの愚かさをストレートにやさしく伝えてくれます。
強大国に勝ったのは武力ではなく、人間の心でした。言葉にするときれい事になってしまいますが、この絵本は見事に表現しています。
兵士を武力で迎えるのではなく、真心で迎える。兵士たちには闘争ではなく、生きる楽しさを伝える。それもさりげなく、さりげなく。
これは素晴らしいことです。
この絵本も強いて説得するのではなく、一番小さな国の住人のように描かれています。
気になったのは王様のこと。
王様は知らず知らず、子どもに小さな国の歌を歌ってあげます。王様が変わらなければ、兵士たちは板挟みです。
板挟みから平安は生まれない。
沖縄基地の問題と武力による抑止力を唱えている現在、この絵本を鵜呑みにしてはいけないかも知れませんが、大人も考えなければいけない問題として受け止めました。
ちなみにデビッド・マッキーさんはイギリスの風刺画家だそうです。納得しました。
エルマーのシリーズの中にも、マッキーさんの姿勢が反映されているのでしょうか?