はっきり言って低学年むけではありません。
平坦なひらがなで語られているお話ですが、とにかく怖いのです。
うしかたが牛に塩サバを背負わせて峠にさしかかった時に出会ったのが山んば。
塩サバをいっぴきくれろと言われて、怖さのために差し出すのですが、山んばはあっという間に平らげて、いっぴき、またいっぴきと塩サバを平らげていきます。
逃げようにも牛は早く歩かない。
塩サバが全部なくなり、牛まで食べられて、うしかた自身までが狙われて追いかけられます。
村上豊さんの絵がまた訳もなく恐怖心を誘うのです。
途中から話の主がうしかた側に移ります。
それでも、怖さを植えつけられた子どもたちは、はらはらどきどき固まっています。
山んばの間の抜けた行動、うしかたが怖いながらもとぼけた行動に出るのですが…、見る側にゆとりがない。
最後のオチがみごとに尻切れトンボ。
その先はどうなるのだろう。
怖さの余韻が残るお話でした。
坪田譲治さんの話。
著作権継承者の坪田理基男さんが松谷みよ子さんに依頼して短くしたということですが、すっきり感がないところが、話をさらに怖くしているように思いました。