児童書です。
小学校高学年以上の子どもたちにブックトークで紹介できたらいいなと思いました。
この本は、ナチスドイツがヨーロッパ各国に侵攻していた第二次世界大戦の頃、当時占領下だった自国(デンマーク)で、大人たちに先駆けてレジスタンスのような活動を始めた10代の子どもたちを紹介したものです。彼らの活動名は「チャーチルクラブ」で、著者こそアメリカの児童文学作家ですが、その記録は当時の「チャーチルクラブ」のメンバーでは有名だった“クヌーズ・ピーダスン”本人が語ったものでした。
政府がとったナチスドイツとの同盟という名の占領下の国で、彼らが少年にしかできない形のレジスタンス活動は、「チャーチルクラブ」のメンバーが逮捕されたことで、デンマーク全域に伝わり、それがきっかけとなってデンマーク各地のレジスタンス活動に飛び火していったようです。
「自分たちにもできるなにかをしたかった」という気持ちはクヌーズの回想記録から、よく伝わってきました。
けれども、体験を語ってくれたクヌーズは運よく生き残ることが出来ましたが、このレジスタンス活動の末、亡くなった仲間もいます。また、ナチスドイツへの反発とはいえ、町のいくつかを破壊行為したことは間違いない彼らは逮捕され、1年半から3年もの間投獄されることになり、その過酷な刑務所生活で、多くの仲間が身体を壊したようです。
クヌーズ自身、閉所恐怖症になってしまい、エレベーターにも乗れなくなったそうです。
活動そのものはたたえられるべきすごいことなのかもしれません。
邦訳は金原瑞人さんでしたから、とても読みやすく、一気に読んでしまいました。
けれども、同じ年頃の子どもを持つ母親として、もしも万が一、こういう時代に生きていたとしても、自分の子どもが彼らのような生き方を選びそうになったら(選ぶ前に気づくことが出来れば)、絶対に止めてるだろうな。と、思いました。
戦争は遊びではありません。本当に命を落とすこともあるんです。
この本を読んだ(または、これから読むかもしれない)10代20代の子どもたちには、そこのところだけはしっかり頭に入れて読んでほしと思いました。