『とんだトロップ』は、同じタイトルで、2冊でています。横長の「こどものとも」版(1963年)と、縦長のハードカバー版(1998年)です。おはなしの大筋は同じですが、文章も絵も違い、内容も細かいところで少し違います。
まほうつかいの大男は、前者では一人ですが、後者では兄弟二人です。おまじないの言葉も違います。比べて読むのも面白く、どちらが好きかは人によって分かれるようです。
小野かおるさんの絵は味があり、登場人物の表情が豊かで親しみやすく感じました。お兄さんのように何でもできるようになりたいと憧れるトロップ。頑張って頑張って、ジャンプの練習をするトロップに 少し上を目指したい 子どもらしい感情が伝わってきました。そして、力みすぎて、おまじないの言葉を間違えて、トロップが どんどんどんどん 高く高く飛んでしまうところが面白かったです。
ジャンプ競争のごほうびの靴を お兄さんと分かち合って(「こどものとも」では変わりばんこに、ハードカバー版では、かたっぽづつ履いています)、使っているところは微笑ましく、兄弟の仲が良いことが感じられて、良いなぁと思いました。