屋根も壁も崩れ落ち、荒廃した街並み。そして、お話の1番初めの言葉は、「戦争」・・・。ここを避けては、物語の先へ進むことはできません。娘には、まだ、戦争という言葉も、その意味も教えてありませんでした。小さいうちは、なるべく、夢のある、楽しい絵本を多く読み聞かせてあげたいと思い、戦争を扱ったお話にも触れずにきました。
どのように話そうかと心構えもないまま、最初のページを開くと・・・。目を負傷した兵士の絵を見て、「Fightやったの? それで負けちゃったの? かわいそうだね・・・」と娘。
まず戦争について、さらっと説明をしてから、「日本とアメリカもね、昔、戦争をしたことがあったんだよ」と言うと、娘は、「えっ!」と驚き、「Jが生まれる前に?」と聞いた後に、「またやるの?」と続けて言いました。とても、とても心配そうな、真剣な表情でした。私もまっすぐに娘と向き合って、「きっともうやらないと思うよ。」と、心の底からそう願いながら答えました。
物語は、決して悲しいものではなく、希望に満ち、人々の温かさにあふれています。
オーバーを作る工程は、「ペレのあたらしいふく」と重なり、「ペレは、青い色にしたけど、アンナは赤く染めたんだね」などと話しながら、楽しく読めました。染め粉を使う代わりに、お母さんといっしょに摘んだコケモモの煮汁で糸を染めるところが、特にすてきだな、と思いました。このオーバーを着るたびに、きっとコケモモ摘みの温かい思い出に包まれることでしょうね。
娘のお気に入りは、アンナが羊の首に紙のネックレスをかけてあげ、クリスマスキャロルを歌ってあげる場面と、「毛糸をありがとう。」とお礼を言うアンナに、ひつじたちが「メエエエエ!」と、にっこりこたえる最後の場面。こんなにかわいらしい羊の毛でオーバーをつくってもらったアンナは、ほんとにしあわせだなあ、と羨ましく思っているようです。
この絵本に関しては、あまり感想を言わない娘ですが、手渡したその日から毎晩続けてもってきて、静かに、うれしそうに、聞いています。