ダイアン.ホフマイアーさんの『ふしぎなボジャビのき』がとても良かったので、この絵本を手に取りました。
表紙には豊かな緑と動物たち。そして2人の男女。海に囲まれた孤島。2人の幸せな暮らしが伝わってきます。
見返しも海の色。また頁をめくると岩肌むき出しの島。
軍隊でひどい目に遭い、ひとりきりになりたいと、この寂しい島で暮らし始めた男。
彼が持っているのは、一袋のもみ米と一羽のオンドリだけでした。それからこの島へと吹き寄せられた船乗りたちが、レモンの木、バナナの木、ナツメヤシの木などや、メンドリ、アヒルなども残していきました。
ある日、ポルトガルの女王に男のこの果樹園の噂が届き、女王との対面の場面へと続いていきます。
女王は男を「いのちをじょうずに育てる人」と言います。相変わらず、「そばに寄るな!」とわめく男でしたが、女王の縫い物をしていた娘も彼との出会いで「広い世界で力いっぱい生きたい」と思い、彼についていきます。
そして2人で命を育てていくうちに、たくさんの植物が根づき、花が開き、木々は空高く伸び、森ができ、鳥が群れて眠る島へと生まれ変わっていきました。
島ではいつも、男のそばに、男が生き返らせたオンドリが寄り添っています。
緑の光に包まれて、大きく腕を拡げる男。
人間っていいな、いのちを育むって素晴らしいと感じました。
そしてこれは実話に基づいた物語であり、男を絶望の淵に落とした総督のような人は、今もこの世界に存在しているんですよね。
世界に1日も早く平和が訪れてほしいと、より強く感じました。