「まるた」は「ま」にアクセントを置くんでしょうか。「た」にアクセントを置くんでしょうか。それによって随分絵本の印象が違います。
きっと、とらたがまるたを見つけて「あ、うまだ」と言った時から、「丸太」は「まるた」という人格を持つようになったのでしょう。そう、ただの一本の木の棒が生命をもって、とらたの友達のまるたになったのです。そこへとらこもやってきて、3人で冒険が始まります。
絵の具の筆タッチで描かれたちょっとヘタウマ??な絵がとらたとまるたを生き生きと描いています。最後にとらたととらこが手を振って、まるたに「さようなら」とお別れを言うシーン。
本当にまるたが手を振っているような錯覚さえ覚えるので不思議です。普通の一本の木の棒の絵なのにね。最後のページで1人取り残されたまるたは、またひとりぼっち。でも明日もとらたと一緒に遊ぶ約束をしたからさびしくなんてありません。裏表紙でとらたととらこが仲良く手をつないで歩いている後姿は、きっとまるたの視線から描かれているものなのですね。
「さようなら また、あしたあそぼう」そんなまるたの声が聞こえてきそうな気がします。