スタルクの作品を読んできた中で意外感のある作品です。
内容は少年ルードヴィヒが一目ぼれした少女カタリーナに思いが通じるまでの、甘酸っぱい恋物語。
カタリーナに心を奪われてしまったルードヴィヒは、何とかして自分の本心を受けれてもらいたいと、いろいろなプレゼントをします。
それでもカタリーナはなかなかイエスと言ってくれません。
それは、カタリーナの両親が間もなく離婚するから。
自分にはずっと続く愛が欲しい。
ルードヴィヒの親も離婚して、現在は母子家庭です。
カタリーナの気持ちはわかります。
ピアノコンテストの前にして練習に集中できないルードヴィヒは、コンクール当日に突飛な行動に出ます。
とても映画的でロマンチックで、お話はハッピーエンド。
この作品の意外性は、ウルフならではのサービス精神が抑えられていることです。
一つは笑い。
私はウルフの作品のドタバタが好きです。
一つは背景の深堀。
この作品では、お互いの家庭環境があまり見えてこないのです。
最後にキーとなるメロディ。
ルードヴィヒがコンクールで弾いた曲、カタリーナの口ずさんでいた曲は何だったのでしょうか。
普段なら種明かししてくれているのですが。
この作品には、じらされてしまいました。
それだけ、二人の恋物語がストレートに描かれています。
他の読者はどう評価するでしょうか。