高学年くらいから、中学生くらいのお子さんに、ぜひ!読んでもらいたい1冊です。
主人公の和樹は小6の夏休みに関西の祖父母の家に下宿します。
下宿って、古い言い方かなぁ。でも、和樹の場合はまさにそんな感じでした。
おじいちゃんおばあちゃんチは、ある商店街の一角にあって、そこで出会った人たちや、自宅から離れたことで、和樹は今までの自分に徐々に向かい合っていきます。
お話が進むにつれて、和希がどうしてこの街にやってきたのか、和希のところへ訪ねてきた地元の少女たちが、実はどういう関係なのかが分かっていく過程も、とても丁寧に描かれていて、読みやすかったし、心情も追いやすかったです。
思春期のお子さんは心の中にいろいろと、人に説明しにくい思いや悩みを持っている時期ではないでしょうか?
よく、問題を起こした子に周りの大人たちが「ごく普通の子だったのに」とか、「あの子は昔はいい子だったのに」とか言いますが、それは周りからの押し付けられた印象でしかないのかもしれませんね。
そして、この本を最も読んでもらいたいのは、周囲から「いい子」のレッテルを貼られているようなお子さんです。
1つ注文を付けるとすれば、和樹とトモのお母さん。ここまで子どもの気持ちが分からない母が、子どもの説明を聞いただけで、これだけ改心するかな〜?ここがちょっとばかりあっけなかったかなぁ。
でも、読んだかいがある話です。お薦めです。