こんな夏休みを過ごす子もいるんですよね。
農家の夏野菜の収穫期、家族総出でお日様の沈むまで強い日差しに耐えて懸命に働いています。
農家をはじめ自営業の家庭では、親の働く姿を日常の中で見ているこどもたち。
見ながら仕事の手順を覚えていく。
主人公の女の子も、末っ子ながら自由な時間を削られてもせっせとお手伝い。
せっかくの夏休みなのに、という親のこどもたちへの申し訳なさも伝わって来ます。
お昼ご飯の後のお昼寝。
蚊帳の中で、体が動かない主人公。
皆が、午後の農作業に出かけた後、主人公の女の子は、納屋へ移動し、“ずる(ねたふり)”を決め込み、またまどろみ始め…。
この行動をじっと見つめる犬に、「なによ!」「わるい?」って開き直って話しかけるシーンが、可笑しい。
寝過ごした昼寝(ねたふり)を家族の誰からも問いつめられなかった。
それどころか、感謝の言葉を掛けられる主人公。
本人のきまり悪さとはうらはらに、この子の日々の手伝いが本当に家族に感謝されているのが解ります。
まだ、こんなに幼いのによくやってくれていると思うから、だれもこの子を責めなかったのでしょう。
“ねたふり”が許されるこの年頃のこどもの微妙な心模様が、大人の読者の幼少期の記憶を呼び覚ますような、ノスタルジックなストーリーと絵で描かれています。