沢山の話数、沢山のヴァージョン、グリムの昔話をモチーフにした新しい物語…「グリム」には、やや食傷気味で、新しい作品を見つけても手を出さずにいたのですが…。
赤と緑の装丁に思わず目がとまり、手に取りました。
読んでみて、初めてグリムの昔話を読んだ時の、お話の世界に引き込まれる感じが蘇りました。
松岡享子さんの、ユーモラスで勢いがあり、ぶっきらぼうのようで品のある文章が心地よく、安心します。
著者による解説と、訳者あとがきも、読み応え十分です。そして、ここを読んで、原文でも読んでみたくなりました。
物語と、物語を語る力の素晴らしさを再確認させられた、一冊です。