私はフィギュアスケートを見るのが好きで、女性ならではの魅力が発揮できるスポーツだなと思っていたのですが、19世紀のイギリスでは「女性は弱く、運動競技に耐えられない」と考えられていたそうで、競技には参加できなかった、とあり、「そんなにも弱いと思われていたなんて」と、びっくりというよりショックでした。マッジ・サイアーズさんというスケーターが、男性を押しのけて入賞し、女子の部が生まれたというエピソードは、同じ女性として「お前らホンマそういうとこやぞ!!」と何かわからないけど「国際スケート連盟に勝った!」と誇らしく思う気持ちでいっぱいになりました(笑)
同じくフィギュアのクリスティ・ヤマグチさんは、リアルタイムで演技をテレビで見たこともあって興味深く読みました。キュートなお顔立ちと美しい演技は、それはそれは印象的で「ヤマグチさんて名前なのに、どうして日本代表じゃないの?」と残念に思った記憶があります。足のハンディのことは知らなかったので驚きでしたし、日系アメリカ人として、スケートで成功した彼女が、慈善事業に乗り出し、基金を立ち上げたという夢のあるストーリーは、スポーツから広がる可能性を感じてワクワクしました。もはや、前時代的な「弱くて耐えられない女性」のイメージはとっくに消え去って、強く美しく聡明なクリスティが全面に押し出されていました。
女だから、とはなかなか言われない時代にはなりましたが、気づかないうちに差別や制約に慣れてしまっているところは、まだまだ否めない世の中です。なんとなく窮屈だったり、なんか嫌だな、という感覚を否定せず、諦めず、私たちも引き続き生きていきたいものだわ、と思いましたし、そういう考え方を息子達にも伝えていきたいと思いました。
お話もさながら全編通してとても魅力的なのは、やはり可愛くてスタイリッシュなイラストで、絵だけ眺めてても楽しい一冊です。