象徴的で読み取りの難しい絵本。
何度か投げ出してしまいましたが、繰り返し眺めているうちに、少女の父親に寄せる思いがひしひしと伝わってきました。
少女は父親の死を、帰ってこない旅立ちとして岸辺で見送ったイメージで心に刻みました。
父親が去って一人ぼっちになった自分。
父親への思いは、年月を経ても変わりません。
少女が結婚し、子どもが生まれ、そして年老いて一人になった時、また少女は岸辺を訪れ、父が漕いで去っていったボートの中で、父親に包まれるようにして眠るのです。
自分の生涯と死との対峙。
父親への思いにつつまれながら、岸辺はとても厳粛な場所としてイメージされました。
大人向けでかなりドライな作品です。