「ちいさなおうち」「いたずらきかんしゃ ちゅう ちゅう」「せいめいのれきし」で知られるバージニア・リー・バートンの作品。
何と1942年の作品なのですが、日本で訳されたのは2004年と60年を超えて出版されていたのです。
道理で知らないはずです。
文は、黒人や労働者の人権運動に努めたアーナ・ボンタンとジャック・コンロイによるもので、それにバートンが絵を描いた作品です。
走るのが大好きで、一番好きなのが火夫のゴウゴウというビュンビュンという名の犬が、ひょんなことから汽車と競争する物語です。
あばらが見えるくらい痩せているくせに、疾走するビュンビュンの躍動感溢れる姿を、バートンが見事に描いています。
次から次へと、速い汽車と競争するのですが、その間の駅長とゴウゴウのやり取りも楽しい光景です。
特に駅長の大人げない仕草も、愉快でどこか憎めないところがあって、最後に約束を守るところは、拍手喝采でしょう。
バートンの描く良き古きアメリカも堪能することが出来る絵本です。
あまり知られていないかも知れませんが、隠れた名作だと思いますので他のバートンの作品とともに読んで欲しい一冊です。