母の勤め先のそば
街の電気屋さんの店先にこの犬がいました。
仕事が終わるのを待っていたのでしょう
小さかった私は
自分ほどもある黒い耳の犬のところへ行っては
なぜたり、のぞきこんだりしていた記憶があります。
どこか懐かしさが漂う絵柄に遠い日を思い出しました。
テレビの上にも小さな犬がいたものだから
あの犬が聴いているのは
テレビの音だとばかり思っていました。
大好きな人の声って
その人がそこにいなくても
耳の底にいつもあって、しみついて
ふとした時によみがえる。
だから、ニッパー
蓄音機から流れた声にじっと耳を傾けたのでしょう?
先日、珍百景で
ご主人を亡くした黒い犬が真っ白になったという話が流れていました。
あの犬の毛色も
忠犬ハチ公が待ち続ける姿も
そして、ニッパーが声に傾げた首も
「大好き」という気持ちって、目に見えるんだ。