1984年刊行。友達のとらのこちゃんと一緒に泥の絵の具で遊んでいたら、いつの間にかみんなが幸せになった話。
私が子どものころは、「辛い努力をひたすら続けること」が美徳であり、成功の秘訣だというような風潮があった。
平成、令和、となってくると、今度は「自分の好きなことを楽しんでやって」成功したり、幸せになったという話をよく聞くようになった。
我慢の時代から、喜びの時代に変わったのだと、喜んでいる。
いろいろなことが必要とされるし、情報の発信も簡単にできるようになったから、自分の好きなことを本業や副業にして、しっかり稼いで生活も成り立っている人もどんどん出てきている。
昔は、好きなこと=生活できること、と思われていなかったから、好きでもないけど生活できることを目指して生きていかなければならないと思っていた。でも、私が子ども時代に出版されたこの本では、すでに「好きなことをして、人に喜ばれて、しっかり儲かって、家族も養えて大満足」という話が描かれている。
昭和の時代にも、好きなことをして、しっかり生活できていた人もいたのだとわかった。もしかすると自分が思っていたよりも、たくさん、そういう人たちがあったのかもしれない。
この絵本は、大人になってから初めて読んだ。
子どものころに読んでいたら、周囲の「私だけ我慢」の大人たちの圧力を受けていて、素直に良さがわからなかったと思う。
(ちなみに、そういう大人たちは、忍耐しなければ読み切れないようなしんどい本を子どもに勧めてくる。)
今は、いい時代になって、好きなことをどうどうとできる雰囲気がしっかりできてるからか、こういう話が素敵だと思えるようになった。
妙な読み方をしてしまったが、単純に面白くて、何度読んでも幸せな気分になれる、簡単なお話。
商売が繁盛して、町も素敵になり、みんなが幸せになるという非常に縁起のいい話です。寅年の初めには是非読んで、快運しましょう。