遭難して海に投げ出された難民の少年が、小人の国に漂着して、ガリバーの息子と呼ばれるようになりました。
現代社会の中で、ガリバー旅行記を描こうとしていますが、パロディではなく、リメイクでもなく、少年を主人公としたエンタメの面白い作品だと思いました。
物語中に出てくる「ガリバー旅行記」の、2つの国の対立の発端には違和感があるのですが、戦争の火種は瑣末なことでしかないという、モーパーゴなりの平和志向から来ているのでしょうか。
今起きている戦争に対する痛烈なアイロニーとして受取りました。
難民問題も根底に置いた作品です。
意味深な小人ザヤとナトバンのラストシーンが、読後の余韻の中で残りました。