丘の上に横たわるヨットの残骸。
傍らの老人が静かに風変わりな話を語ります。
西風号というヨットが遭難し、乗っていた少年は不思議な光景を目にするのです。
それは浮遊するヨット。
船乗りとしてのプライドで、少年はその操縦法を教えてもらい、
西風号を飛ばせることに成功するのです。
ヨットの名前が西風、この風が物語を操縦します。
浮遊するヨットの幻想的な光景が目の前に広がってきます。
映画館のスクリーンのように、効果音も聞こえてくるようです。
そして、いつものように、味わい深い余韻が読後を包みます。
高慢な少年の行く末をどうとらえるか、なかなか哲学的です。
彼の生き方を評するのは複雑です。