人の心に寄り添い、一緒にいることの素晴らしさを描いた絵本だと思っていました。
しかし、村中李衣さんの著作で、読み聞かせ失敗例として、人に寄り添うことの難しさを語られていることが気になって、じっくりと再読しました。
なかよしの黒いうさぎと白いうさぎの、ハッピーエンドのお話ではあります。
黒いうさぎが時折悲しそうな表情を見せることを、白いうさぎは気になって仕方ありません。
白いうさぎが、黒いうさぎにその理由を問いただしたように思えたのでしょうか。
気になる仲としては、不思議には思えないのですが、そこに落とし穴がありました。
精神科に入院中の少女には、堪らないお節介に感じられたのです。
お互いの気持ちが解りあった白いうさぎと黒いうさぎは、幸せになるという展開は、もう耳に入りませんでした。
絵本の受け取り方は、人それぞれということ、思いを押しつけてはいけないと痛感した瞬間でした。
そう考えると、好きな人といるときに、黒いうさぎはどうして悲しそうな表情を繰り返すのでしょう。
どうして幸福ではないのでしょう。
すでに繊細な心を失ってしまったおじさんは、改めて唸ってしまいました。