とても罪つくりな大人の絵本です。
「因果ばなし」の基の話を知らないので、円城塔さんがどのように翻案したのかは解らないのですが、中川学さんをもってした世界は、なんとも艶容で、死を目前にした女の怨念と絡み合って読者の心を苦しめる作品になっています。
女性の嫉妬はかくも執念深いものなのでしょうか。
本妻であった女性は、これでは成仏できません。
人心を惑わしておいて、救いがないのが怪談でしょうか。
本妻が亡くなれば、代わりに妻となるゆきこが美しく描かれているだけに、何の因果があってゆきこは転落していくのか、小泉八雲の物語を確認したくなりました。
絵を描いた中川学さんが、浄土宗西山禅林寺派の僧侶であることも気になりました。