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くまのパンやでパピプペポ!『くまくまパン』西村敏雄さんインタビュー

幼なじみのくまさんとしろくまさんがはじめたパン屋「くまくまパン」を舞台に、おいしいパンがたくさん登場する絵本『くまくまパン』と『みんなの くまくまパン』(あかね書房)。作者の西村敏雄さんは、『コロッケです。』(学研)や『アントンせんせい』(講談社)などの人気絵本作家さんです。今回は西村さんにお話を伺い、『くまくまパン』が生まれた経緯を伺いました。パン好きなみなさん、お腹を空かせてご覧ください!

くまくまパン
くまくまパンの試し読みができます!
作:西村 敏雄
出版社:あかね書房

くまさんとしろくまさんがパンやさんを始めました。くまさんはあんパン、しろくまさんはカレーパンを作るのが得意です。美味しいパンにお店は大人気。ある日、一番のおすすめをたずねられたふたりは、自分のパンが一番とゆずりません。そして、お店もお休みになってしまいました。まわりの動物たちが心配していると、かばの王様が「まかせなさい」と立ち上がり…。おいしいパンをめぐって起こるお話が、劇のように読める絵本です。

みんなの くまくまパン
みんなの くまくまパンの試し読みができます!
作:西村 敏雄
出版社:あかね書房

“くまくまパン”は大人気のパンやさん。ある日、くまさんたちは、かばの王さまにたのまれて王子さまのためのパンをつくることに。くまさんは大きなクリームパン、しろくまさんは長ーいソーセージパンをつくります。おいしそうなにおいが広がり、お城のまわりにこどもたちが集まるほど。けれども、王子さまは食べてくれません。そのとき、お城の外から声が聞こえてきて…。どうぶつの国のお城でくまのパンやさんたちががんばります。

実はパン屋じゃなくて、「だんご屋」の話だった?!

───『くまくまパン』は、くまさんとしろくまさんがはじめたパン屋さんが舞台のおはなし。ほわっと あま〜い あんぱんを作るのが得意なくまさんと、ぴりっと から〜い カレーパンを作るのが得意のしろくまさんという設定がとてもユニークだと思いました。このおはなしは、やはりパン屋さんのおはなしを作りたいという発想から生まれたのですか?

実は、最初に編集者さんに見せたラフは、パン屋さんではなく、だんご屋さんのおはなしだったんです。


『くまくまパン』はだんご屋さんだった? 幻のラフを見せていただきました。

───え!? だんご屋さん?

「やぎさん ぶたさん だんごやさん」といって、やぎのやぎべえと、ぶたのぶたはちが団子屋さんをはじめるはなしでした。おはなしの舞台も江戸時代とかちょっと昔の設定でね。でも、編集者さんから、子どもたちにとって、昔の時代という設定は難しいし、団子屋さんもあまりワクワクしませんよね。とお返事をいただいて、「例えば、パン屋さんとかどうですか? 動物もくまとか、子どもたちに人気の動物の方が良いと思います」とアドバイスしてもらったんです。
ぼくは動物が出てくる絵本をたくさん描いているけれど、今までくまを主人公にすることはなくて、いつか描きたいと思っている動物でした。なので、「くまを出してください」と言われたのが嬉しくて、くまのパン屋で絵本を新しく考えていきました。

───それが「くまくまパン」だったのですね。

個性の違う仲良し2人がお店をはじめて、それが繁盛するという展開は、「やぎさん ぶたさん だんごやさん」を踏襲しました。ただ、やぎさんとぶたさんのときは、片方が作る人、片方は売る人という役割で分けていましたが、『くまくまパン』では、甘いパンが得意なくまさんと、辛いパンが得意なしろくまさんという形で分けることにしました。


2つを比べてみると、どことなく似ているような……。

───くまさんはブルーのスカーフ、しろくまさんは黄色いスカーフという色分けがおしゃれですね。

色をブルーと黄色にしようというイメージは最初からありました。お店の外観や包み紙の色も、ブルーと黄色で統一しています。ぼくは元々ブルー系の色が好きで、それとバランスを合わせた色として黄色を選んだんです。

───すごくかわいらしくて、温かいイメージのある色ですよね。ページをめくると、まず最初に「くまの パンやで パピプペポ パン、ピン、プン、ペン、ポン どれ たべたい? パン!」とリズミカルな言葉が出てくるのが、とても楽しく、おはなしの世界に入る導入としてピッタリだと思いました。

こういうオープニングのような展開は、ぼくの絵本でよく出てきますね(笑)パピプペポって破裂音が入っていて、語感が良いでしょう。声に出して読むことで、楽しい気分になってもらえたら嬉しいですね。

───くまさんとしろくまさんの作るパンがおいしいので、あっという間に人気のパン屋になります。とにかく、パンがとてもおいしそうなのが、印象的でした。西村さんは普段もパンが好きなんですか?

そうですね。ごはんかパンかと言ったら、パンをよく食べています。パンの絵を描くときは、いろいろ調べて、一番おいしく見えるように描きました。

───でも、あるとき、お店の一番オススメパンがどちらかという問題が起こり、どちらも自分の得意なパンが一番だと譲らず、けんかになってしまいます。

おはなしを盛り上げるには、何かトラブルが起こらないとね(笑)。でも、あまりケンカの場面を強調しすぎると、そればかりが印象に残ってしまうから、全体のバランスを壊さないようにしました。

───どちらも自分のパンが一番だと譲らないため、お店はしばらくお休み。でも、動物たちは早く仲直りしてほしいと思っています。そんなときに、パン屋の評判を聞きつけてやってきたのが、動物の国の王様です。動物の王様というと、ライオンとかを思いうかべますが、カバなのが意外でした。

ライオンにしようかとも思っていたのですが、食べ物が好きなキャラクターとしてライオンってあまりピンとこなかったんです。カバの方が食いしん坊なイメージがあるでしょう。それと調べみたら、カバって意外と強いんですよ。それで、カバの王様にしました。

───王様の大声が「ガボー!」なのが面白かったです。

こういうオノマトペは、感覚で気に入った方を選んでいます。ぼくの絵本の作り方は、「絵は見やすく、文は読みやすく」。この2つだけ。特に文章は、何度も声に出して読んで、「パン、ピン、プン、ペン、ポン」というと楽しいなとか、「ガボ〜!」というのは、おかしいけれど、カバっぽいなと思ったことを絵本に反映しています。

───「絵は見やすく、文は読みやすく」ですか。すごく分かりやすいですね。

あと、「心に残る言葉を選ぶ」というのも考えています。

───なるほど。『くまくまパン』というタイトルもとても印象に残ります。

実は、途中で『くまくまパン』というタイトルが、狙いすぎているんじゃないかと思うこともありました。もっとシンプルに「くまパン」とかでもいいんじゃないかと……。編集者さんに相談したら、「くまくまパンの方が良いです」って言ってくれて、そうだよな〜って納得しました。

───絵本を作る中で、そのように悩むこともあるんですね。

そうですね。ぼくは結構、子どもたちがどう楽しんでくれるかとか、多くの人に読んでもらえるにはどうしたらいいかなど、気にしてしまう方かもしれません。楽しくなるようにオノマトペをたくさん入れますし、文章も何度も声に出して読んで、確認します。

───カバの王様の活躍で仲直りしたくまくんと、しろくまくん。どうやって仲直りしたかは、ぜひ、絵本を読んでほしいですね。

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西村 敏雄(にしむらとしお)

  • 愛知県生まれ。東京造形大学デザイン科卒。インテリアとテキスタイルのデザイナーとして活動後、絵本の創作を始める。第1回日本童画大賞優秀賞受賞。絵本に『バルバルさん』『もりのおふろ』『どうぶつサーカスはじまるよ』(福音館書店)、『どろぼうだっそうだいさくせん!』『もじもじさんのことば劇場 オノマトペの巻』(偕成社)、『そこにいますか―日常の短歌』(岩崎書店)、『うんこ!』(文溪堂)、『どうぶつぴったんことば』(くもん出版)他多数。

作品紹介

くまくまパン
くまくまパンの試し読みができます!
作:西村 敏雄
出版社:あかね書房
みんなの くまくまパン
みんなの くまくまパンの試し読みができます!
作:西村 敏雄
出版社:あかね書房
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