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《スペシャルコンテンツ》インタビュー

2013.04.18

『あたし、ようせいにあいたい!』
のぶみさんインタビュー

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『あたし、ようせいにあいたい!』のぶみさんインタビュー

アンちゃんの目の前を横切った、小さな小さな妖精。もう一度妖精に会いたいアンちゃんは、妖精のためのお城を作ったりして、一生懸命妖精を探すのですが…。
女の子の夢がいっぱいつまった絵本『あたし、ようせいにあいたい!』。作者の、のぶみさんは新幹線と男の子の友情を描いた「しんかんくん」シリーズや、仮面ライダーに憧れる子が実際に仮面ライダーに変身する「ぼく、仮面ライダーになる」シリーズなど、子ども達の夢を叶える絵本を生み出す、大人気の絵本作家さんです。『あたし、ようせいにあいたい!』の見所や女の子の気持ちをつかむための道のり、絵本を描くときに大切にしていることを伺いました。

あたし、ようせいにあいたい!
あたし、ようせいにあいたい!の試し読みができます!
作・絵:のぶみ
出版社:えほんの杜

【あらすじ】 庭で遊んでいたアンちゃんは、 羽の生えた小さな人を目にします。 「え?なにあれ…?」 ママに聞いてみるけれど、 ママは赤ちゃんの世話が忙しくて、 ちゃんと答えてくれません。 一人で妖精を探し始めたアンちゃんは、 小さな小さな靴を見つけて…。 「おひめさまようちえん」シリーズで大人気の のぶみさんが贈る、女の子のためのストーリー。

「妖精の絵本を作るためには、実際に妖精に会わなきゃと思ったんです」

───『あたし、ようせいにあいたい!』は、女の子の夢が沢山つまった絵本ですよね。読んでいて、キラキラ〜と、ときめくポイントがちりばめられていて、とても楽しめました。

妖精の王子様とダンスを踊ったり、妖精の粉で空を飛んだり、花のドレスに変身したり、女の子ってきれいでかわいいことが本当に大好きですよね。でも、女の子ってとても難しいんです…。ただやみくもにキラキラさせたり、かわいいものをちりばめたりしても、ダメ。「これは私じゃない」って思っちゃうともう読んでくれないんです。だから、女の子のことを一生懸命考えて、それを全て絵本に落し込もうと努力を重ねて生まれたのがこの絵本です。

───特に気を付けたのはどんなところですか?

ひとつは、アンちゃんを悪い子にしすぎないこと。子どもは主人公に自己投影させて、おはなしの中にはいっていくから、「私、こんなに悪い子じゃない」と主人公から心が離れちゃうとダメなんです。「ママが忙しいってわかっているわ」とママへの思いやりを見せることが大切なんです。それと、自分が王子様に選ばれたという優越感を感じさせること。このとき、「ゆびを さした そのさきにいたのは、なんと…」と少し文章に溜めを入れてドキドキ感を高めることがポイントです。すんなり決まっちゃうのはあまり喜ばれないんですよ。4、5歳の女の子ほど女子力が高いと僕は思っています。

───たしかに…(笑)。


あと、途中で虫を登場させてわざとテンションを下げるのも、後半を盛り上げるために必要な場面です。このとき虫をリアルに描きすぎると、「イヤ〜!」ってなってしまって、読んでもらえなくなるので、かわいく見えるように描くのも重要なんです。



───すごい…、各ページにおはなしの中に引き込むテクニックが組み込まれているんですね。絵の中に50の妖精が隠れていたり、その妖精たちに全員名前がついていたり、細かいところまですごく描きこまれているのも、子どもは好きですよね。

妖精って目に見える姿をしているものと、自然の中に溶け込んでいるものがいるだろうなと思って、風や草の中に同系色で溶け込んでいる妖精も描きました。なので、小さい子は1回で全部見つけるのは少し難しいかもしれません。でも、何度も読んで探してくれたら嬉しいです。僕は今回、妖精を描くために、今までやったことのないリアルなタッチに挑戦しました。子ども達が実際に会いたいと思っている妖精の姿に近づけることで、本当に妖精がいるんだという感じを出したかったんです。


実はこの絵にも、何人もの妖精が隠れているんですよ。わかりますか?_

───絵はいつもどんな画材で描かれているんですか?

作品によって画材を変えることもあるけれど、基本は色鉛筆と油性の細ペン、顔の部分だけ水彩絵の具を使って描いています。原画は1枚描くのに大体12時間くらいかかるんです。僕は、ストーリーについては何度も揉んで、考えて、突き詰めて書くので、あとで悩むことはあまりないんですが、絵に関しては毎回、「どうすればもっと上手くなるんだろう…」と思うことばかりです。荒井良二さんや長谷川義史さんみたいに自由に描くにはどうしたらいいだろう…と。でも、「しんかんくん」シリーズの編集さんから「あなたは荒井さんや長谷川さんじゃないんだから、とにかく丁寧に描きなさい」と言われて、それからは、ひたすら丁寧に描くことに重点を置いてきました。でも、もっと思う通りの絵を描くためにはどうしたらいいのか…。うまく描くことができないから、何度も絵本を描くんじゃないかなとも思っています。

───丁寧に描いていることが、妖精の探し絵などサービス精神につながっているんですね。今回、絵本の見返し部分に、のぶみさんが実際に妖精に会ったときのことが描かれていて、「妖精ってこんな姿をしているんだー」ととても面白く感じました。

僕は絵本を描くとき、必ずそのテーマにのめり込んで、調べつくして、大好きになってからじゃないと描けないんです。妖精を描くなら妖精に会いたいと思っていて、そのためには妖精がいるといわれる北欧やヨーロッパに行かなきゃいけないかな…って考えてたんです。そうしたら、友達の絵本作家さんの子どもで妖精が見える子がいて、その子がうちに遊びに来たとき「この庭には妖精が3匹いるよ」って言われて、ビックリ!妖精って日本にもいるんだ〜って思って、それからどうしたら妖精が見えるかずっとずっと考えていました。

───その子はどうやったら妖精が見えるか教えてくれたんですか?

「そんなの、まばたきするより簡単だよ」って言ってました。そんな簡単なこと、どうしてできないんだろう…ってずっとずっと考えていたとき、たまたま鎌倉の報国寺に行くことがあって、庭が見える休憩所に寄ったんですね。そうしたら、その庭中にたくさんの妖精がいたんです。

───見えたんですね!

…見えたというより、頭の中で感じた感覚。でも、僕は絵本作家だからもしかしたら会いたいと思うあまり、自分で創作したのかも…と思ったんです。そうしたら中の1匹が近づいてきたんで、「どうして見えるんだ?」って聞いてみました。妖精は「お前が見ようとしたから見えたんだ」って答えてくれたんです。せっかくだから色々聞こうと思って、「何を食べて生きてるの?」って聞いたら、「あれの味を食べている」って、指をさした先にあったのがキノコだった。それまで僕はそこにキノコがあるのを知りませんでした。だからその瞬間、「あ、これは本当に妖精がしゃべっているんだ」って確信しました。

───すごく不思議な体験をされたんですね。

本当ですよね。それからはちょくちょく妖精を見る(?)ことができるようになったので、妖精がいそうな場所とかを巡って、妖精探しをしています。伊勢神宮や出雲大社にも行って、ちょっとパワースポット巡りみたいになっています。

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のぶみ

  • 1978年、東京都生まれ。『ぼくとなべお』でデビュー。自作の絵本に『しんかんくん うちにくる』『しんかんくん ようちえんにいく』『はなちゃんえほんシリーズ』(ともに、あかね書房)、『つちのなかのもぐらでんしゃ』(ひかりのくに)、『にんげんごみばこ』(えほんの杜)、『いぬかって!』(岩崎書店)、『ホネのことならガイコツマン』(Art Boxインターナショナル)、『おえかきしたいえのぐちゃん』(PHP研究所)、『とっきゅうでんしゃのつくりかた』(そうえん社)など多数ある。テレビ番組「おかあさんといっしょ」(NHK)では『ぼくのともだち』のアニメーションのほかにも、『おしりフリフリ』『おっとっとのオットセイ』などで、歌の作詞とイラストを担当している。

作品紹介

あたし、ようせいにあいたい!
あたし、ようせいにあいたい!の試し読みができます!
作・絵:のぶみ
出版社:えほんの杜
あたし、パパとけっこんする!
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作・絵:のぶみ
出版社:えほんの杜
おひめさまようちえん
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作・絵:のぶみ
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