●ナンセンスな作品や赤ちゃん絵本も作ってみたいです。
───『100円たんけん』以降、『ごはんのにおい』(おむすび舎)、『おうち』(金の星社)、『あみ』(アリス館)と中川さんとの絵本を出版されていますが、特に思い入れの深い作品はどれですか?
すべての作品にドラマがあって、とても1つには絞れませんが……。
科学絵本を描いていた頃、どうしたらリアルな部分と抽象的な部分をうまく1冊に描き込むことができるのだろう……と思っていました。
でも、『あみ』を描いたとき「できた!」と。ようやく、あのときの課題を解決できたように思います。
───『あみ』は「中川ひろたかのせいかつかがく絵本」シリーズ第2弾ですね。
『100円たんけん』は生活のちょっとした疑問から経済に広がる話、『あみ』は暮らしの中にある「かがく」を見つめ、考える話と、子どもたちの身近にあるテーマの部分が共通しているように感じました。
そうなんです、今、振り返ってみると、『生きる』がなければ、ユーモア路線の『100円たんけん』は生まれなかったですし、科学絵本の『まちぼうけの生態学』や『100円たんけん』がなければ、この『あみ』という絵本もぼくが描くことはなかったのではないかと思います。
───岡本さんの今までのお仕事すべてが、新しい絵本につながっていっているんですね。
『100円たんけん』は主人公のぼくとママのキャラクターも魅力的ですし、商店街のお店の人たちもとても個性的。同じ設定で続編ができるのではないか……と期待してしまいます。
そういうお話を中川さんとされることはありますか?
すぐに続編という話は出ていないですが、ぼくもとても好きな作品なので、2冊目があればぜひ描きたいです。
あとは、めちゃくちゃなナンセンスのおはなしに絵をつけてみたいし、赤ちゃん絵本のような、背景のないシンプルな作品にも絵にも、挑戦してみたいです。
───直近で作っている作品はどんな絵本ですか?
来年のあたまに、林木林さんとの絵本が出る予定です。
実は林さんとぼくは同じ山口県出身。しかも、この絵本の担当編集者さんも山口県出身なのでご縁を感じます。
その他いくつか予定はありますが、自作の絵本も進行中なので、楽しみにしていてください。
───どんな絵本ができあがるのか、今からとても気になります。
今日は『100円たんけん』の話から、これから出る絵本のお話まで、いろいろ伺えてとても楽しかったです。
最後に、絵本ナビユーザーへメッセージをいただけますか?
『100円たんけん』はレビューコンテストもやっていただいて、みなさんの感想をぼくもとても楽しく拝見しました。
絵本を読んで「面白かった」という感想をいただけるのはもちろん嬉しいのですが、この絵本はさらにその先に「我が子も『100円たんけん』をやってみたいと言っています」「うちでも『100円たんけん』をやってみました」という体験エピソードまで報告してくださる方がいて、絵本って読んだ後にこんな広がり方があるんだなぁ……と感動がありました。
絵本というのは、親子のコミュニケーションの道具でもあると思うので、この絵本で親子で話し合ったり、新しい体験をしたりするきっかけにしてもらえると、とっても嬉しいです。
───ありがとうございました。
アトリエを見せていただきました。
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取材・文/木村春子
撮影/所靖子