大きなパンダのぬいぐるみと仲良しになれたら。しかも、二人の秘密という関係になれたら。雪降る寒い日、仲良しの心温まるストーリーとユーモラスな絵で、ほっこりしませんか?
5歳の誕生日に両親からもらった大きなパンダのぬいぐるみ。かなちゃんは早速「パンパン」と名付けて話しかけ、一緒に寝るほど仲良しになります。
ある朝、かなちゃんはびっくり。床はびしょぬれ、かなちゃんが前日ゆきだるまに巻いてあげたお気に入りの赤いマフラーが落ちています。次の日には、窓の前にパンダみたいなゆきだるまが。そして、かなちゃんは気付きます。話しかけたパンパンのまつげがほんの少し動いたことに!
もう一つ、ゆきだるまエピソードも不思議な世界。ゆきだるまが窓ガラスをたたいて、気づいたパンパンが部屋に招き入れて。パンパンとゆきだるまが話し込んでいる光景、これが後半、意外な展開につながります。かなちゃんがぐっすり寝ている間、何が起こっていたのでしょうか?
全体を通してパンダの白と黒、ゆきだるまの白、かなちゃんのマフラーの赤が、とてもいいアクセントになって、不思議な世界に誘ってくれる1冊。題名に添えられているのは「我家有熊猫」という中国語。作者は、中国出身で福音館書店の編集者として多くの絵本を手がけた唐亜明さん。それだけに、パンダへの思い入れも感じます。パンダとゆきだるまという愉快な設定に、高畠純さんの絵がカラフルでユーモラスな演出となって盛り上げています。
(中村康子 子どもの本コーディネーター)
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北の町にすむ5歳のかなちゃんは、パンダのぬいぐるみ「パンパン」ととってもなかよし。
大雪がふったある日、かなちゃんは大きな雪だるまをつくって、赤いマフラーを巻いてあげました。
すると、その夜、だれかが窓をたたきます。パンパンがその音を聞いて、カーテンをあけてみると、そこにいたのはあの雪だるま。「おはなししようよ」そういってパンパンは雪だるまをまねきいれ、あたたかい部屋で楽しくお話しをしました。かなちゃんはなにも知らず夢の中。
つぎの朝、部屋の床がぬれていて赤いマフラーがおちています。かなちゃんは「これ、ゆきだるまにまいてあげたんだけど」とふしぎそう。
長年、福音館書店の編集者として数多くの名作絵本を手がけてきた唐亜明と、あざやかな色彩と親しみのある線、ユーモラスな表情で人気の絵本作家・イラストレーターの高畠純が織りなす、かわいくてふしぎな、ひみつのお話です。
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