あしたは遠足だっていうのに、空はどんよりヤな天気。ヒロはテルテルボウズにお天気をおねがいしますが、そのときザーっと大雨が。そしてあたりに、あやしい気配……。こんな天気は、怪しおそろし妖怪日和!?
犬? 猫? すりすり、フワフワ、スネコスリ。鼻もなければ口もない。肉の塊、ヌッペッポウ。妖怪日和に誘われて、次から次へと妖怪が!
「おい、ニンゲンのこども、
おまえもようかいになれ!」
妖怪日和は妖怪の天下! 妖怪たちであふれかえる町にまぎれこんだヒロの、不気味でおそろしい、でも、ちょっぴりゆかいな冒険を描いた妖怪絵本です。
線の太いタッチで描かれる妖怪は、 おどろおどろしくもどこか愛嬌のある、浮世絵風の古き良きデザイン。一方で、ちいさくカラフルな水玉として、ページ全体に散りばめられた雨。あわく、にじむような色合いに染められた、幻想的な町の風景。それらが妖怪たちの見た目となんとも不思議なギャップを生み出していて……パステルホラー? いや、不気味でポップ……? ながめているだけで楽しい、ほかでは味わえないユニークなみどころになっています!
「ようかいびよりは、
ゆかいだぞ。
まいにち、ようかいびよりなら
ずっと、ようかいびよりなら
この世は、ようかいたちのもの」
そうしてはじまる百鬼夜行! 人の子神輿で、わっしょいわっしょい!
妖怪たちのお祭り騒ぎに巻き込まれたヒロ。このままじゃ、ほんとに妖怪にされちゃう!? そんなピンチを救ったのは、予想もできないあの妖怪──。
どのページもさわやかな色で描かれていて、読んでいるうちに涼しく、さわやかな心地になってくるのも隠れた魅力の本作。「妖怪」、「納涼」、「大冒険」と、真夏にぴったりの一冊です。
(堀井拓馬 小説家)
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