社会で活躍している人たちは、どんなふうに「好き」を仕事にしたんだろう?
鈴木のりたけさんが描くリアルヒストリー「しごとへの道」第2弾。今回の主役は獣医師、オーケストラ団員、地域おこし協力隊の仕事につく3人です。
イヌ、ネコ、ウサギにトリ。カメにカエル、トカゲにイルカ。毎日フル稼働でたくさんの生き物の命を救う獣医師の渡邉英秋さんですが、大学を卒業して最初に勤めたのは水族館。10年近く水の生き物しか診てこなかった渡邉さんが、陸海空あらゆる生き物に向き合うことを決意したのは、あるできごとがきっかけでした。
美しい演奏で観客に感動を届けているオーケストラ団員・佐々木絵理子さんは、音楽家への道をひたすら突き進む中、なぜ自分はバイオリンを弾くのか、理由を見失いかけたことが。
生まれ故郷の地域おこし協力隊として活躍する黒阪旅人さんは、ミュージシャンを目指したり、フランスへ一人旅に出たり、玩具メーカーの企画開発職についたり。自分が一番やりたいことを追い求めてきた末の、今があります。
憧れの職業につき、いきいきと現場に立つ姿からは想像できない3人の今日までの道のりが、読み応えあるコミック仕立てで描かれています。進むべき道に迷い、自分に問い直しては動けなくなり、思いきったのにうまくいかず心が折れ。それでも仕事への道が途切れることなく続いているのは、彼らが子ども時代からずっと変わらない「好き」を持ち続けているから。平坦で真っ直ぐじゃないからこそ、その歩みは同じように働く読者の胸を打ち、これから仕事への道を踏み出す若者の背中をそっと押してくれることでしょう。
「仕事ってなんのためにするんだろう?ー(中略)ー僕もよくわかっていません。
でも「楽しく生きよう」と僕はいつも思っています。」
地域おこし協力隊・黒阪さんの言葉が心に刺さりました。
三者三様の仕事への道をたどりながら、今作でも仕事の大変さ、面白さ、すばらしさにじっくり触れてみてください。
(竹原雅子 絵本ナビライター)
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