日本では手術以外に改善する方法はないと言われている側弯症であるが、海外では装具治療の有効性、運動療法の可能性が認められている。
手術療法には長期的な合併症の問題が報告されており、これを念頭に考えると、特有の副作用やリスクがない保存療法(装具療法と運動療法)に挑戦することは大きな意味があると言える。
ドイツには世界で最も有名なシュロス法という有効な運動療法がある。
1920年代にクリスタ・レーナルト・シュロスによって始められたこのシュロス法は90年以上の歴史があり、側弯症の改善においてこれまでも高い実績をあげている。シュロスファミリーの3代目であるDr. ハンス・ルドルフ・ワイスはこの運動療法を、より効果的に、かつシンプルなプログラム、Schroth Best PracticeR (シュロスベストプラクティスR)へと進化させた。本書はそのシュロスベストプラクティスRの原理と運動療法の取り組み方を具体的に、詳細に示している。
シュロスベストプラクティスRは、1.Physiologic, 2.Activity of Daily Living, 3.3D made easy,4.Power Schroth, 5.Walking で構成される。その特徴は側弯を3D(矢状面、前額面、水平面)で矯正することである。特に、1.Physiologicは、第2腰椎の高さで腰椎の前弯を正しく作ることで脊柱の側弯やねじれを最小限に抑制する矯正動作であり、治療結果を劇的に改善した注目の治療法である。2.Activity of Daily Livingでは日常生活において側弯を改善する動作を、3.3D made easyでは呼吸法を取り入れて簡単な3次元の運動を習得する。全て個々のカーブに特化した運動療法である。
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