日系人の12歳のスミコは花農家に引きとられて暮らしています。冒頭で誕生日会に誘われるのですが、門前払いをされます。
この出来事からしても日本人がアメリカで差別されていたことがわかるのですが、第二次世界大戦下、日系人は敵国ということで収容所に収容されるのです。
ある日を境に持っていた財産を失い、全く別の生活を余儀なくされること、戦争でなくても地震による被災でも。
読んだ時期が、東日本大震災の後ということで、スミコの置かれた状況がどうしても重なってしまいました。
なぜかといえば、地震を契機に日本人であることを強く意識したことです。
収容所の生活で聞かれる日本人的な言葉「ハジ」「シカタガナイ」「ガマン」などは、すべて日本人であることのアイデンティティの一部だからです。
物の豊かな時代でも、過酷な現実は襲うことがあり、そのことに人としてどう立ち向かうのか、絶望し怠け者になる者もいるでしょう。
でも、スミコは花農家で得た経験を活かしながら収容所でも花を作るのです。
戦時中の日系人のことは、ドラマなどでも見たことがあります。
日本人であることを選ぶのか、住んでいる国であるアメリカ人であることを選ぶのかは、究極の選択でしょう。
YA作品を読み始めたところですが、どれも外国人が主人公、この作品については日系三世の作家が描いていること、
主人公が日系人ということで、どうしても自分の身に引き付けて読むので、状況がとても切なく響いてきました。
とても深刻な話でありながらも、スミコのひたむきな芯の強さや希望を失わない姿に清々しさを覚えるのでした。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子9歳)
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