読もうと思えば小学校高学年から読める易しい読み口とは裏腹に、大人に向けて描かれたかのような読み応えある内容。
八百万の神がいると信じられていた古代日本、アイヌ神話を元に自然への感謝が全編通して描かれ、つい自分は自然に対してどう考えているのかと自問してしまう不思議な引力があります。読んだ人なら、一度は考えたと思う。
生き抜くために獲物を獲ったり、花芽を摘んだり、折った枝で弓を作ったり。壊した自然に対して、いちいち感謝の気持ちを表す「けずり花」 を作って奉げます。
あまりにも徹底した感謝を事も無げに日常的に行うポイシュマが、凄くもあり羨ましくもあります。
けずり花ってどんなだろう。ちょっと見てみたいなぁ。
挿絵にもこれは描かれない。
というところから、アイヌの文化に興味を抱きました。
またムラでの暮らしぶりや他のムラとの交易の様子などは大変興味深く、ヒメカ側の暮らしや思想も細かに描かれ、移る時の流れを戦だけではなく内側からも描いているのだと思います。
私はそんな物語の裏要素が強かった2巻が特に好きです。
縄文から弥生への移り変わりの物語。
我が家は、ばあばが全シリーズ集めてくれました。団塊の世代にも面白いということですね。