【あらすじ】
コブタの兄・ぷちは料理人、妹のちびこはホール係。二人は夢だった食堂を開業する。初日、ふくろうおじさんの来店を皮切りに、口コミが広がり食堂は繁盛。順調な滑り出しであった。そんな中、たった一人「こぶたの作る料理なんか、おいしいわけがない」と言い張るきつねのおばさん。ちびこは一度食べて欲しいので招待状を送りますが…
ハードクレイ―マーの陰険なおばさんの心をとろかす、素晴らしいサービスの数々を、ごゆっくりお楽しみください。
【感想】
実に美味しそうな、コブタ…いや、お料理の数々。
気取った高級レストランではなく、カレーや親子丼などもつくってくれる大衆食堂の温かい雰囲気がうれしい。昔、ファミレスがあまりなかったころ、家族でレストランに食べに行った思い出がよみがえりました。クリームソーダって、素敵じゃない?
食べもしないのに、決めつけたり、素直に良さを認めないきつねのおばさんも、心に残ります。どうやったらあんなにひねくれられるのか?本当によく描かれていて感動的。それぞれの登場人物が魅力的なので、絵本に書かれていない私生活まで気になります。生き生きと描かれている絵が、想像力をさらに掻き立ててくれます。
料理人の喜びや、心を込めて仕事をするすばらしさ、お店を開業させる夢が叶う直前のドキドキワクワク感。物語を通じて、私も飲食店を開業したような気分になりました。でも、クレーマーとの対決は大変だねえ。良い事ばっかりではない、人生の厳しさも含まれて味わい深く仕上がっています。
こんな素晴らしいお店ならすぐに三ツ星になり、予約の取れない、行列のできるお店になるのでは。今のうちにしっかり味わっておくことをお勧めします。